デジタルトルクレンチを使うメリット

2021.06.1 トルクレンチの豆知識

組み立て作業を行う際に、トルクレンチをお使いの方も多いと思います。締め付け作業を行う場合、トルクが弱すぎたらボルトの緩みに、強すぎたら製品を破壊する恐れがあり、安全な製品を作るためには規定トルクで締め付けなければなりません。正確な規定トルクは手の感覚ではわからないため、締め付け作業を行う場合はトルクレンチを使わなければなりません。

トルクレンチには大きく分けて2種類、アナログトルクレンチとデジタルトルクレンチがあります。
今回はアナログとデジタルのメリット、デメリットについてご紹介いたします。

種類	特徴
プリセット型	あらかじめトルク値を設定しておき、その値に達すると「カチッ」という音と、手に軽いショックが伝わるタイプです。トルク設定は設定範囲内で自在に変更できるので、様々なトルク設定を要求される作業も難なくこなすことができます。一般的に最も普及しているタイプのトルクレンチです。
単能型	特定の作業に向けて、あらかじめトルク値が設定されているタイプで、設定値を変更することはできません。既定のトルク値に達すると「カチッ」という音と、手に軽いショックが伝わります。

メリット	安い	デジタルトルクレンチと比べて比較的安くなります。
メリット	扱いに慣れている	機能がわかりやすく、扱いが簡単です。
デメリット	精度が出なくなる	測定方法が機械式(バネ式)なので、使っていくと精度が出なくなります。 (ほぼ消耗品に近い)
	必要本数が多くなる	単能型はトルク値が固定なので、必要本数が多くなります。プリセット型は毎回セットが必要になります。 ※デジタルトルクレンチの場合、規定トルクの設定を自動で変更することもできます。
	トルク値保存が手動	トルク値の履歴を残すには、別途トルク値を測定し、紙に記入するか、入力する必要があります。
	正確なトルク値を把握できない	数値で制御しているわけではなく、あくまで「カチッ」と音がしたら締め終えているだけで、正確な締付トルク値を把握することはできません。

※デジタルトルクレンチはホームセンターで1万円前後のものもあります。
その場合「ただ計測する」機能しかありません。

種類

特徴

デジタルトルクレンチ

液晶画面にデジタル表示でトルク値を表示するタイプです。

今どのくらいのトルクがかかっているかを見ながら作業できるので、直観的に使用することができます。

あらかじめ設定したトルクに達すると光や音で知らせます。設定トルクは簡単に変更することができるので、様々なトルク設定を要求される作業も難なくこなすことができます。

メリット	正確にトルク測定できる	設定下限値、上限値に到達すると、音と振動モーターでお知らせします。
	履歴情報をデジタルデータとして保存	締め付けるだけで締付トルク値がデジタルデータとして自動的に保存されます。
	本数を少なくできる	測定範囲内であれば設定下限、上限トルクを何度でも変更できるので、アナログトルクレンチより少ない本数で作業できます。
	精度不良が出にくい	アナログトルクレンチとは違い、測定方法がセンサーなので、摩耗による精度不良が出にくいです。
	他のシステムと連動できる	パソコンやPLCと連動させやすいです。
デメリット	初期費用が高い	高機能なものは1本/10万円以上する場合もあります。 ※デジタルトルクレンチはホームセンターで1万円前後のものもあります。その場合「ただ計測する」機能しかありません。

	アナログトルクレンチ	デジタルトルクレンチ
規定トルクに到達時	カチッと音を発し、軽く抜ける (そのまま締結し続けることも可能)	液晶表示、振動とブザーで知らせてくれる
上限トルクに到達時	特になし (そのまま締結し続けることも可能)	液晶表示、振動とブザーで知らせてくれる
オーバートルク時	特になし (そのまま締結し続けることも可能)	液晶表示、振動とブザーで知らせてくれる ※デジタルトルクレンチもそのまま締結し続けることが可能ですが、その場合でも実測値を計測して判定するため、オーバートルクを防ぎます。仮にオーバートルクで締結しても、履歴が残るので、見逃すことはありません。
締結時のトルク値	履歴として残せない (規定トルク値で締めたのか不明)	締付履歴を残すことが可能